再発見日本の食卓　テイスティングフェスタ「和魂洋才」

有楽町の国際フォーラムで行われる「世界最優秀ソムリエコンクール」の公開決勝に合わせて、日本ソムリエ協会の会員向けにテイスティングイベントが開催されました。国内の有名料理人10人の料理と、日本酒・焼酎、国内ワイン、輸入ワインのマリアージュが楽しめるとあって、平日にも関わらず大盛況でした。私も早々と有給休暇を申請したクチです。

まぐろの赤身づけ（新ばし　しみづ）

ここのブースはとても親切で、このお寿司に合うワインのボトルを飾っていました。国産ワインを含む白3種と赤3種。赤は全てピノノワールでした。私はかねてから、お寿司にブルゴーニュのピノノワールが合うと思っていて、以前友人の知り合いのお寿司屋さんに持ち込もうとしたことすらあります。さすがにその時はお断りされて残念でしたけど。
その中のおすすめの赤ワインのひとつフェヴレさんの「ジュヴレ　シャンベルタン　プルミエ　クリュ　クロ　デ　イサール　2009」と合わせてみました。まぐろの赤身の鉄分と粘土質の土壌でタンニンが豊富なジュヴレ・シャンベルタンがよく合ったのには納得。同じ価格帯で石灰質の土壌の「ニュイ　サン　ジョルジュ　プルミエ　クリュ　オー　シェニョ」ではワインの酸味が強調されてしまいました。
ワインのマリアージュの奥深さと、ブルゴーニュの土壌の多様性を感じ取れた一皿でした。

さつましゃもとフォワグラのガトー味噌風味（ホテルメトロポリタンエドモント）

やはりフォアグラ好きの私としては、フォアグラとワインのマリアージュは欠かせません。この料理はしゃものミンチに合わせ味噌を加えて、フォワグラのソテーと重ねてガトー仕立てにしたもの。トップのジュレにはポートワインが使われています。この料理とマリアージュしたワインは以下の通り。

竹泉純米大吟醸（田治米）
アルガブランカ　ドース 2009（山梨　勝沼醸造）
Gewurztrminer Reserve 2011
Pacheren du Vic Bihl Doux Charles de Batz ‘Symphonie d’ Automne’ 2008
MOUTON CADET RESERVE SAUTERNES
らワイン　ハニービーナス 2011（広島　セラアグリパーク）
ロリアンセラーマスター甲州 2012（山梨　白百合醸造）
フランシスコ　デラウェア 2011（大分　安心院葡萄酒工房）
氷結搾りデラウェア　2012（高畠ワイン）
グランポレール　北海道ケルナー　遅摘み　2011（サッポロワイン）
Corbieres Cuvee Classique Rouge　2008

甘口の白ワインをベースに、日本酒、赤ワインにも合い、なんとも守備範囲の広い一皿でした。

午後はいよいよ「世界最優秀ソムリエコンクール 2013」の公開決勝。前日までの過酷な戦いを勝ち残った3名のファイナリストが世界一を争って戦いました。今回のファイナリストは、ベルギー代表、2012年の南北アメリカ最優秀ソムリエ、2010年のヨーロッパ最優秀ソムリエ。優勝は、ヨーロッパ最優秀ソムリエのパオロ・バッソさん。

近頃、『○○に詳しい人』的な意味で『○○ソムリエ』を名乗る怪しい名称が跋扈していますが、日本ソムリエ協会では、『ソムリエ』を下記のように定義しています。

“ソムリエ”とはワインを中心とする酒類、飲料、食全般の専門的知識を有し、その仕入保存、在庫・品質管理、サービス方法等に留意し、個々のお客様の求めに応じる。また酒類及び料理選択の際には適切な助言をおこない食事内容を健全で豊かなものにし且、食事環境を清潔、衛生的で快適な雰囲気にすることを目的として、良質の物的・人的サービスの提供を行うことにより経営の安定化、及び飲食の快適性、安全性、文化性の維持向上を推進するものである。その活動の場は飲食提供を行う場であり、ワインを中心とする飲料のサービスを専門的に携わる者の「職業」を言う。

出典：ソムリエの定義　日本ソムリエ協会

飲料サービスをしない酒販店の方や私たち一般人は、同じ知識を持っていたとしてもソムリエを名乗ることは許されず、それぞれ『ワインアドバイザー』『ワインエキスパート』の名称を用いています。
今回の公開決勝では、ここに出てくる人々は単にワインに詳しい人ではなく、明らかにソムリエとしてプロフェッショナルの仕事を間近で見せてくれました。

「『○○ソムリエ』を名乗る人たちは今すぐ返上して！ソムリエに対して失礼だわ！」と思った帰りの電車で見た車内広告に目を疑う文字が。

「峠ソムリエ」

もはや、笑ってしまいます。